今の私が在るのは田舎のおかげ|ダンススクール運営者 池田桜子さんインタビュー

古賀市の山側に位置する薬王寺温泉。その近辺で生まれ育った池田桜子さんは、小学校から高校まで古賀市で過ごしました。現在は福岡市や遠賀郡などでダンスインストラクターとして活動しながら、古賀市で自身のダンススクールを運営しています。

東京ではなく古賀市を選んだ桜子さんにインタビューをおこないました。古賀市の山側に住むことを検討している方にとって、参考になりましたら幸いです。

-桜子さんの経歴を教えてください。

池田桜子さん
池田桜子さん

小野小学校、古賀東中学校、古賀竟成館高校と、一貫して古賀市の学校で学びました。5歳の頃に地元のダンススクールに通い始めたことがきっかけで、現在はダンスインストラクターとして、ソフトバンクホークスのHoneysやavex artist academy、sunmusicなどの養成所でダンスを指導しています。
さらに、自身のスクールを持ちたいという思いから、古賀市にcherry dance schoolを開校しました。おかげさまで約60名の生徒さんが通ってくださり、毎回のレッスンを楽しくおこなっています。

古賀市の交流イベントでcherry dance schoolを紹介する桜子さん
古賀市の交流イベントでcherry dance schoolを紹介する桜子さん

-Honeysやavex artist academy、sunmusicといった名立たる事務所のダンス講師になるまでの過程を聞かせてください。

小学校高学年の頃、ダンスをさらに極めたいと思い、地元のダンススクールからavex artist academyに移りました。
当時、福岡市のダンススクールはレベルが高いと感じていたのです。その頃、福岡にavex artist academyが開校するとのことで、タイミングよくオーディションを受けることができました。
avex artist academyには小学5年生から高校3年生まで所属しましたね。

avex artist academyで練習する桜子さん
avex artist academyで練習する桜子さん

その後、元講師の紹介や私を知ってくださっていた方からお声がけいただき、Honeysやsunmusicといったプロダクションでダンス講師を務めることになりました。

ダンス一筋の桜子さん、古賀で紡いだ青春ストーリー

桜子さん

-小学生から高校生までavex artist academyに通っていたとのことですが、どのような学生生活だったのでしょうか?

小学生の頃は、友だちと真っ黒に日焼けするほど外で遊びました。川遊びやケイドロ(鬼ごっこ)を楽しみ、雨の日には傘を重ねて秘密基地を作り、その中でお菓子を食べたりシール交換をしたりしていましたね。

小野公園
小野公園

天神にあるavex artist academyには週3回通っていました。国道3号線沿いのバス停から天神行きの急行バスに乗って行っていたのですが、家から最寄りのバス停までは母に送ってもらっていました。
帰りは夜遅くなるため、父や母に天神まで迎えに来てもらっていましたね。今思うと、共働きで忙しかったはずなのに嫌とも言わず送迎してくれていて、本当に感謝しています。
しかし時々、バスで帰らなければならない日があり、疲れて眠ってしまい、終点まで行ってしまうこともありました(笑)。小学生だった私を気遣って、優しい西鉄バスの運転手さんが最寄りのバス停まで送ってくださることもありましたね(笑)

桜子さん

中学・高校時代はダンス発表会の選抜メンバーに選ばれ、発表会前になるとavex artist academyに通う頻度が増えました。高校では男子バスケットボール部のマネージャーをしていましたが、ほとんど顔を出せない幽霊部員でした。
一方で、体育祭のチア長や生徒会の体育委員長を務め、体育祭実行委員長も経験しました。avex artist academyで忙しかったものの、充実した学生生活を送れましたよ。
高校2年生の夏休みには、親しいダンス仲間とニューヨークへの留学も経験させてもらいました。

-留学というのは、ダンスを学ぶためだったのでしょうか?

はい、そうです!ダンス仲間と二人で計画を立てました。親を説得し、自分たちで留学支援会社を見つけ、ホームステイ先に日本人がいるプランで渡米しました。
ステイ先への行き方や危険エリアについて詳しい説明を受けたのですが、それでも地図を見ても方角がわからなかったり、目的地とは反対方向の地下鉄に乗ってしまったりと、ハプニングの多い留学でした。でも、とても良い経験になりました。

ニューヨーク留学時の写真
ニューヨーク留学時の写真

フリープランでの留学だったため、ダンスレッスンを探すところから予約するところまで、すべて自分たちでおこなわなければなりませんでした。言葉が通じなくても身振り手振りで乗り切り、17日間にわたって日々4時間ほどのレッスンを受けました。

-高校2年生にして、かなりの行動力があったのですね。今こうして活躍されているのも納得です!では、高校卒業後はどのように過ごされましたか?

高校を18歳で卒業した後は、ダンスレッスンを受けながら3つのアルバイトを掛け持ちしていました。19歳になると、ダンスの仕事に専念するため、自ら cherry dance school を開校しました。
パフォーマーとしての道もありましたが、一度インストラクターとして教える立場を経験してみると、その喜びにすっかり魅了されてしまったんです。

古賀市交流イベントでインタビューに答える桜子さん
古賀市交流イベントでインタビューに答える桜子さん

avex artist academyでは「教えることも自身の上達につながる」と教わりました。そのため、インストラクターとしての活動は自分の技術向上にもつながっています。子どもたちの成長を間近で見られることは大きな達成感があり、もう手放せない喜びになっていますね!
例えば、「あいさつができるようになった」「泣かずに1時間のレッスンを受けられた」といったことは、大人には当たり前でも、小さな子どもにとっては大きな進歩なんです。

cherry dance schoolの生徒が参加するイベントの様子
cherry dance schoolの生徒が参加するイベントの様子

このように、ダンスの技術だけでなく、子どもたちの成長を見守れる仕事だからこそ、楽しく続けられているのだと思います。

古賀市交流イベントで紹介されたcherry dance schoolの様子
古賀市交流イベントで紹介されたcherry dance schoolの様子

-確かに未就学児から大学生までの生徒さんを抱えるcherry dance schoolでは、年齢別の成長が見届けられて楽しいでしょうね。ところで、これまで東京でダンスをしたいと思ったことはありますか?

もちろんあります!でも、コロナ禍と重なり、東京へ行ける状況ではなくなったので、cherry dance schoolに集中しようと決めました。
自分で開校したダンススクールということもあり、熱が入りすぎて、最近は「東京で仕事があれば古賀市から通えばいい」という考え方に変わりました。古賀市に住みたいという気持ちが強くなりましたね。

“田舎暮らしの魅力” 桜子さんが語る古賀市への愛

-桜子さんから「古賀市への想い」がひしひしと伝わってきますが、なぜそんなにも古賀市が好きなのでしょうか?

生まれ育ったまちだからですね。友人からは「一人暮らししたら?」や「博多や天神に住んでそう」と言われるんです。
でも、私は一人暮らしより田舎に住みたい気持ちが強いんです。毎日レッスンで大音量の音楽を聞いているせいか、静かな場所で過ごしたくて。以前は東京にも憧れがありましたが、田舎好きの私には東京での暮らしは難しそうです(笑)
確かに田舎は交通が不便なこともありますが、のんびりできる環境が気に入っています。

薬王寺水辺公園
薬王寺水辺公園

運動会の練習の声など、子どもたちの元気な声が聞こえてくるのが好きなんです。それに、散歩中に見知らぬおばあさんから夏祭りに誘われたり、子どもの頃には、知らないおばさんから大根をもらったりと、あたたかい交流があるんですよ。
あいさつするのが当たり前で、地域の方々がとてもあたたかいので居心地がいいんです。

筵内(むしろうち)菜の花
筵内(むしろうち)菜の花

今は車があるので行動範囲が広がり、子どもの頃よりも田舎暮らしを楽しめている気がします。
仕事で福岡市内や遠賀郡に行くことがありますが、古賀市はちょうど中間地点。私にとっては最高の立地なんです。福岡市内だけに仕事があれば市内で一人暮らしをしていたかもしれません。でも、遠賀郡にも仕事があるので、古賀市が一番合っているんですよ。

-では、次に日常生活について聞かせてください。普段の買い物や食事はどこに行きますか?

買い物は米多比にあるAコープです。最近、新しくコンビニができたんです。オープン直後は交通整理の警備員さんがたくさんの人を誘導していて、驚きました!
子どもの頃は、商業施設に行くのに頑張って自転車をこいでいました。今は車移動なので、楽に買い物できています。バスは1時間に1本しかなく移動手段が限られるため、我が家では一人一台車を所有しています。
よく行く飲食店は古賀サービスエリアです。

古賀サービスエリア
古賀サービスエリア

サービスエリア内にある一蘭には週1回は通っています(笑)

古賀サービスエリア内にある一蘭
古賀サービスエリア内にある一蘭

古賀サービスエリアにはカフェもあるので、ダンスに使う音楽の編集をしたり、構成を考えたりしています。長時間過ごせる場所ですね!

古賀サービスエリア内にあるTULLY'S COFFEE
古賀サービスエリア内にあるTULLY’S COFFEE

古賀サービスエリアに行ったときは必ず「通りもん」を買って帰ります。冷凍して食べているのですが、しっとりしていておいしいので、ぜひ試してみてください!
おすすめスポットは薬王寺温泉エリアです。漢方薬を入れたお風呂もあり、お風呂から上がると肌がしっとりして、とてもリフレッシュできます。お店を出るとすぐに森林が広がっているのも癒しですね。

薬王寺の湯 偕楽荘
薬王寺の湯 偕楽荘

-最後に、桜子さんの夢を教えてください!

古賀駅周辺に自分のスタジオを持つことです。レッスンができるスタジオはもちろん、生徒さんを送迎してくださる親御さんが休憩できるカフェも併設したいんです。これが私の夢ですね。
現在、cherry dance schoolには約60名の生徒さんが通ってくださっています。生徒数が100名に達したら、この夢に向かって本格的に動き出したいと考えています。

現在レッスンで使用しているkogaballroom
現在レッスンで使用しているkogaballroom

桜子さん、地元ならではの興味深い情報をありがとうございました!

行動力あふれる桜子さんに続く子どもたちが、古賀市から輩出されることを願っています。
古賀市では、市長と教育長自らが給食の時間に教室を訪問する「ランチミーティング」を実施しています。これは、子どもたちに「自分の暮らしと社会、政治のつながり」を体感してもらい、民主主義の意義を伝える取り組みです。

子どもの声をまちづくりに活かす目的もあり、この取り組みは大都市では実現が難しいかもしれません。行動力と推進力のある子どもを育てたいと考える方には、古賀市が適しているかもしれませんね。
桜子さんは、古賀市で活動する人々の交流イベント「こがのばトーク」にも登壇されました。併せてこちらの記事もぜひご覧ください。