古賀市は人のあたたかさを感じられるまち|bar ponteオーナー 松木良紀さん・泰代さん夫婦

JR古賀駅西口商店街にある食の交流拠点「るるるる」でbar ponteを営む松木良紀(よしのり)さん、泰代(やすよ)さんご夫婦。
ご夫婦ともに埼玉県ご出身ですが、2019年に福岡へ移住。2023年7月に「るるるる」にお店をオープンされました。
今回はそんな松木さんご夫婦に、bar ponteを開業した経緯や古賀に対する想いなどインタビューさせていただきました。

ご夫婦でbar ponteを始めたきっかけ

写真:bar ponteさん提供

ーお二人の経歴を教えてください。

良紀さん:
高校を卒業してから東京の上野の老舗洋食店で働き、それからずっと料理の仕事をしています。当時から「いつかは自分の店を持ちたい」と考えていて、結婚をした後に独立。最初は東京の赤坂見附にお店を出しました。
赤坂見附のお店は3年半で閉めてしまったのですが、またお店をやろうとなったとき、同時進行で移住も考えていて、福岡に来ることにしました。

泰代さん:
私は普通にサラリーマンとして会社勤めをしていました。
料理とはまったく関係ない寝装品を扱う会社のインハウスデザイナーとして、布団の模様や柄をつくったりしていました。現在もお店をやりながら、フリーランスとしてデザインの仕事もしています。

ーお二人で仕事をはじめたのはいつからですか?

泰代さん:
福岡に移住するタイミングで会社を辞めて、主人と一緒にお店をやることにしました。
仕入れや食材選びは2人でやって、調理や仕込みは主人が担当。Instagramでストーリーズの投稿をしたり、お店の広告面は私がやっています。
料理情報の投稿などは主人がやっていますけど、基本的には2人で分担してやっています。

ーお店のロゴも泰代さんがつくられたんですか?

泰代さん:
そうです。昔の主人をイメージして…(笑)

旅を通してたどり着いた古賀市

ーお二人とも埼玉ご出身と伺いましたが、なぜ縁もない福岡へ?

良紀さん:
最初はなんとなく、もう50(歳)が見えてきて、今は「人生100年」ってよく言うじゃないですか?このままずっと東京で働くビジョンが出てこなかったんですよね。
僕もカミさんもなんですけど、専門的な仕事をずっとやってきて、 この先も仕事漬けでいいのかなっていう気持ちがありました。

当時住んでいた家は団地をリノベーションしたようなところで、震災のときにヒビが入ってしまって、このまま住むのは不安な思いもあったので、じゃあ引っ越そうというときに僕から「ちょっと遠くに移住してみない?」と提案しました。
2人でいろいろ旅行をしてきたんですけど、僕は食べるのが好きなんで福岡旅行がすごく楽しくて。それで「福岡に移住しよう」となりました。

ーそこから「るるるる」にお店をオープンすることになった経緯を教えてください。

写真:bar ponteさん提供

良紀さん:
そもそものきっかけは鹿児島旅行でした。福岡に移住してから、ちょこちょこ九州を旅行していたんですけど、あるとき鹿児島旅行中に酒屋さんに立ち寄ったんですね。そこで店主の方にお酒のことを教えてもらって、すごい美味しい焼酎に出会いました。
旅行中だったので荷物になると思いそのときは買わなかったんですけど、福岡に戻ってまたあの焼酎が飲みたいねってなって。

ネットで検索してみたら古賀市のノミヤマ酒販さんがでてきて、行ってみたら角打ちがあって、そこから2人で通い始めました。それで店主の許山さんと仲良くなって、お店の物件を探していたので、古賀市が地元の許山さんに聞いてみたんですよね。

写真:bar ponteさん提供

JR古賀駅西口に「るるるる」ができたときも許山さんにお話を伺って、実際にお店を見てみたら、ちょうど探していたくらいの広さで。一人でやろうと思っていたので、広すぎない、本当にちょうどいい物件でした。
次にお店を出すときは、どういう場所がいいかずっと考えていていました。前回のお店は都会のど真ん中だったので、次は住宅街で地元の人が通うようなお店を出したい気持ちがありました。お酒も売りたかったので駅の近くで。あと埼玉出身なんで、海の近くがいいと思っていました。

糸島も少し考えていましたが、駅と栄えているところが離れているじゃないですか?
商店街があって、駅が近くて、人が住んでいる環境といったら古賀が一番ちょうど良かったんですよ。
僕はもっと田舎でもいいかなと思ったんですけど、カミさんは都会にも行きたいと言ったので、博多まで電車で20分で行けるこんな良い場所はないということで「るるるる」に拠点を構えました。

ーまさに理想にぴったりな場所を見つけられたんですね!

良紀さん:
そうですね。

地方に来て感じた人とのつながり

ー関東との違いを感じることはありますか?

良紀さん:
やっぱり人が近い、関係性が近い気がしますね。人がすごく話しかけてくれます。埼玉から来ましたって言うと「なんで?なんで?」みたいな。
福岡を選んだことを、すごく喜んでくれている感覚があります。それで話がつながっていくことも多いですね。
例えば「こういう人いるけど紹介するよ」みたいなことがすぐに実現します。

ー実際に物件を紹介していただいたように、本当に動いてくれる方が多いんですね!

良紀さん:
物件を探しているとき、ノミヤマ酒販さんで飲んでいたら、古賀市の職員の方を紹介していただいたり、飲食店に行くと結構友だちができるので、古賀っていいなっていうのは本当にありましたね。

泰代さん:
みんな優しいですね、福岡のことを教えてくれたり。自分たちの住んでいるまちが好き、県が好きっていう気持ちが強いんだろうなっていうのを感じますね。
縁もゆかりもなく、親族もいないのに福岡に移住しましたって言うとびっくりされたり、喜んでくれたりします。「福岡を好きになってくれてありがとう」という意味合いだと思いますが、とても良い文化だなと感じています。

ー移住前に想像していた「地方暮らし」にギャップはありませんでしたか?

泰代さん:
地方は、お酒好きな人が多い気がしますね。時代の流れもあるんでしょうけど、SNSを見た人が遠くから来てくださることもあります。
あと、お客さま同士で仲良くなっちゃうことも結構ありますね。なるべくお客さまと会話をするようにしているんですけど、忙しくてバタバタしているときはできないこともあって…。そんなとき気づくと、初見同士のお客さまがカウンターで仲良く話していたりします。みんなで盛り上げてくれている、助けられている感覚がありますね。
女性の一人のお客さまも多くいらっしゃるんですけど、仲良くなった他のお客さまと二軒目に飲みに行かれることもあります。関東ではお客さまと店員が話すことはありますが、お客さま同士で喋ることはあまりないので、良い意味でのギャップを感じました。
この人懐っこい文化というか、人の良さというか、県民性なのかなっていう気がします。

古賀市で表現したいこと

写真:bar ponteさん提供

ーbar ponteがオープンして半年ですが、どんなときに楽しさを感じますか?

良紀さん:
古賀の野菜はとても美味しいです。
東京にいると、食材に”旬”がありません。例えばナスは、東京では一年中買えるんですよ。福岡でも一年中買えるんですけど、時期によっては価格が高騰したり、物がなかったり、店からなくなることも多いじゃないですか。でも東京はそれがないんです。
旬ではない食材も手に入りますが、鮮度がちょっと違ったり。値段が倍になっていたり…。

泰代さん:
それは良いことなのかなって思ってたよね。

良紀さん:
東京で勤めているとき、旬の食材でメニュー考えてくれって言われても旬がないんですよ。
古賀市周辺は産地直送がたくさんあって良いですね。やっぱり季節によって手に入るものが違ってくるじゃないですか。旬の野菜で料理を作るのはとても楽しいです。

泰代さん:
野菜も果物もお肉も、九州産で完結できるってのはすごい。
地のものが手に入るっていうのは、やっぱすごいことだと思います。

ーこれからやりたいことはありますか?

写真:bar ponteさん提供

僕はこれからも自分の思ったこと、自分が表現したかったこと、お店bar ponteを続けていきたいです。まだスタート段階なので、ますます発展していけたらいいなって思っています。

最近「るるるる」で古賀農園さんが野菜の販売を始めたりしているので、生産者の方ともうちょっとお近づきになれたら嬉しいです。
あとはジビエも入ったらいいなと思うので、これからルートを探していきたいです。

それから、せっかく海や漁師さんと近いまちでお店を営んでいるので、破棄されてしまうような魚がもしあれば、そういう食材を使ったメニューも考えていきたいですね。
関東ではできないことを、古賀市でやっていきたいです。

まとめ

今回は、食の交流拠点るるるるで「bar ponte」を営んでいる松木さんご夫婦にインタビューさせていただきました。
古賀市での営みを通して感じた人のあたたかさが、お二人の言葉を通してじんわりと伝わってきました。

松木良紀さん、泰代さん、お忙しい中ありがとうございました!